ブースNo. 2F-7
ブースNo. 2F-7
大正5年、81歳作。「80歳代に至って鉄斎は化けて龍になった」とは鉄斎研究の第一人者・小高根太郎の談で、老境に至り画はますます瑞々しく、筆は冴えていく。
聳え立つ山々の緑青と辰砂の対比は実に鮮やかで、その谷間から流れ落ちる瀑布は渓流をつくり静かに流れていく。
近景、中景、遠景の隅々からそこに住まう人物に至るまでつぶさに描かれ、立ちのぼる幽玄は観るものを仙境へと誘う。
賛にある「静観自得」は北宋時代の儒学者・程顥の詩句に由来し、つづく「江山風月本無常主閑者便是主人」は鉄斎が最も敬愛した文人として名高い蘇東坡による。
自然の中で悠々と静観するものこそが、山河の真の美しさを愛でることができる。万物の本性を描き出した名品である。
2F-7
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